大判例

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東京高等裁判所 昭和30年(う)1915号 判決

被告人 阿美政男

〔抄 録〕

論旨の二について。

(一) 刑法第二百二十五条の営利誘拐罪は営利の目的を以て詐欺または誘惑により他人を自己の実力的支配内に置いたときに完成し、営利の目的を遂げたか否かは同罪の成立に消長を来たすものではない。従つて被誘拐者を利用して有料の職業紹介事業を行つた場合には、営利誘拐罪のほか別に職業安定法第三十二条第一項本文違反の罪が成立するものといわなければならない。それゆえ原判決が被告人の所論各所為を右両者の併合罪として処断したのは正当である。

(二) 営利誘拐罪はその被害法益の性質に鑑み、被誘拐者ごとに独立して一罪を構成するものと解すべきであるから、原判決が所論原判示第一の(三)の所為を単純一罪と認めず、これに刑法第五十四条第一項前段を適用したのは正当である。

(三) 被告人の原判示有料職業紹介の所為は、原判示の如く数回に亘り反覆継続して累行されたものであるから、これを事業と認めるに妨げなく、従つて原判決がこの点を職業安定法第三十二条第一項本文違反に問擬したのは正当である。

以上の如く本論旨はすべて理由がない。

(谷中 坂間 荒川)

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